「公務員なんてノルマもないし、身分も安定しているのに、メンタルやられるなんて甘えじゃないの?」
正直に告白すると、自分が倒れる前の私自身も、心のどこかでそう思っていました。「自分は真面目に20年やってきたし、係長にもなった。メンタル不調なんて自分には一生関係のない話だ」と、本気で思っていたのです。
しかしある日、仕事に行けなくなり、強い動悸で心療内科に駆け込むことになりました。診断名は「ストレス障害」。そのまま療養休暇に入りました。
休職して一定の時間が経ち、頭の疲労が抜けてきた今、「なぜ自分はあそこまで追い詰められてしまったのか」を冷静に振り返ることができるようになりました。
単に「嫌な上司がいたから」という職場のせいにして終わらせず、自分自身の性格や立ち回りの反省も含めて、私がメンタルを壊した本当の原因を自分なりに整理してみました。
1. 最大の原因は「人の顔色を気にしすぎたこと」
原因を深く掘り下げていったとき、最後に行き着いたのは「他人の顔色や機嫌を気にしすぎたこと」でした。
業務量が多すぎたことも事実ですし、責任が重かったことも確かです。しかし、私の心を最も削っていたのは、日々のデスクワークではなく「四方八方への気配りという名の感情労働」でした。
上司の機嫌をうかがい、決裁のタイミングを測る日々
当時の上司は、機嫌の波が非常に激しいタイプでした。書類を持って報告に行っても、パソコンの画面から目を離さず、こちらを見ようともしない。少しタイミングが悪いと「なぜ今持ってくるんだ」「前から言ってるだろ」と冷たくあしらわれる。
次第に私は、「どうすれば怒られないか」「どの時間帯なら上司の機嫌がマシか」ばかりを考えるようになり、決裁を1本上げるだけでも神経がすり減る思いをしていました。
その一方で、部下の機嫌まで取っていた
普通なら「厳しい上司への不満」を下にぶつける中間管理職もいるのかもしれません。しかし、私はそれができませんでした。
部下たちからは連日のように業務の愚痴や組織への不満が上がってきます。「この人たちに気持ちよく動いてもらわなければ」「嫌われたくない、職場の空気を壊したくない」と焦るあまり、私は部下の機嫌まで取ろうとしていたのです。
上司の顔色をうかがって神経をすり減らし、席に戻れば部下の顔色をうかがって愚痴を受け止める。上からも下からも気を遣い続け、私の心は逃げ場のない状態になっていたのだと思います。
2. 「公務員は楽なのに甘え」「本人の能力不足」への反論
ここで、世間や組織からよく投げかけられる疑問について、客観的な視点から考えてみます。
反証①:公務員には民間の売上ノルマがないのだから楽なのでは?
確かに公務員には「今月の売上目標」や「倒産リスク」はありません。しかし、民間企業のように「数字を達成すれば文句を言われない」という逃げ場がありません。
公務員の評価は基本的に「減点主義」です。ミスをしないことが大前提であり、仕事の成否が「人間関係」や「事前の根回し」に100%依存します。明確なゴールがないからこそ、人間関係の摩擦がダイレクトに個人の精神を破壊します。
反証②:上司が悪いのではなく、係長としてのマネジメント不足では?
これに関しては、自分自身にも痛いほど反省点があります。「上司が理不尽だった」「部下が非協力的だった」と他人のせいにするのは簡単です。
しかし私自身、「嫌われる勇気」を持てず、部下に厳しく指示を出せなかったり、上司に対して『これ以上の業務は無理です』と毅然と交渉できなかったりしたマネジメントの未熟さがありました。すべてを丸く収めようとした自分の八方美人が、自分を追い詰める原因になったことは否定できません。
3. 最も致命的だったのは「逃げ道」を持たなかったこと
人の顔色を気にしてしまう性格に加え、トドメを刺したのが「このレールから外れたら人生が終わる」という強烈な思い込みでした。
- 「係長になったのだから、弱音を吐いて途中で投げ出すわけにはいかない」
- 「公務員を辞めたら、40代の自分にできる仕事なんて他にない」
- 「住宅ローンや子どもの教育費があるから、どんなに苦しくても耐え続けるしかない」
「逃げられない」と思い込んでいる人間は、追い詰められたときにブレーキを踏むことができません。車で言えば、エンジンから煙が出ているのにアクセルを床まで踏み込み続けたようなものです。結果として、走れなくなるまで踏み続けてしまいました。
4. 限界を迎える前の自分に教えたい「3つの現実的な逃げ道」
もし、当時の自分に声をかけられるなら、伝えたかった現実的な防衛策があります。
① 限界なら、迷わず診断書を取ってその場から離れる
「自分が抜けたら現場が回らない」というのは、真面目な人の錯覚です。公務員組織は巨大であり、職員が1人休んだところで役所は翌日も何食わぬ顔で動きます。
倒れるまで耐える必要はありません。体が動かなくなる前に心療内科を受診し、正当な権利として休職に入ることが最優先です。
※精神科の受診から診断書をもらい、療養休暇に入るまでの具体的な手順は以下にまとめています👇

② 管理職が合わないなら「希望降任」で身を守る
「係長や管理職の重圧、板挟みにどうしても耐えられない」と感じた場合、公務員には自らの意志で役職を降りる制度があります。
降任すれば給料は少し下がりますが、板挟みの責任から解放され、心を守りながら定年まで働き続ける選択肢が手に入ります。出世のレールを降りることは、敗北ではなく立派な自衛です。
※役職を降りて心を守る具体的な条件や給与の減額幅についてはこちらで解説しています👇

③ 組織に依存しない「経済的な逃げ道」を育てておく
私が最終的に休職という決断を下せたのは、20代の頃からコツコツ積み立ててきた「資産」の後ろ盾があったからでした。
「最悪、仕事を辞めたとしても数年は家族と生きていける」という資産があるだけで、職場で上司や部下の顔色をうかがうプレッシャーが劇的に軽くなります。給与以外の足場を整えておくことこそ、最大の精神安定剤になるんです。
※公務員が無理なく資産を築くためのロードマップはこちらにまとめています👇

他人の機嫌を取るために、自分の人生をすり減らさないで
メンタル不調になった原因を振り返ると、上司の態度や職場の環境だけでなく、「周囲全員の顔色を気にし、良い人でいようとしすぎた自分」が確かにいました。
しかし、周囲への配慮ができる真面目な人だからこそ、組織の歪みを一身に背負い込んでしまったのだとも思います。
上司の機嫌も、部下の機嫌も、本来はあなた個人の責任ではありません。他人の機嫌を取るために、あなたの心や健康、そして家族の笑顔を犠牲にする必要はどこにもないのです。
今まさに職場で人の顔色をうかがい、胃を痛めながら耐えているなら、どうか一度立ち止まって、自分を守るためのブレーキを踏んであげてください。

「しょうがない」「なんとかなる」休職してからの私が好きな言葉です。









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