公務員の中間管理職が限界を迎えるのは、能力不足ではないという話。

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「係長なんだから、そのくらい自分で判断してよ」

上司から投げかけられたその一言が、当時の自分の首をじわじわと絞めていきました。

「そうか、自分は係長なんだから弱音を吐いちゃいけない」
「この係は自分にかかっているんだ」

そんなふうに勝手に背負う荷物を増やし、毎朝頭に鈍い重みを感じながら職場に向かっていた時期があります。

トラブルが起きるたびに「自分のマネジメント能力が足りないせいだ」「もっと要領よくさばけない自分が悪い」と自分を責めていましたが、限界を迎えて立ち止まった経験のあるいま、冷静に振り返って思うことがあります。

公務員の中間管理職がパンクするのは、個人の能力不足なんかではありません。

誰がその席に座ってもいつか壊れるような、「組織の構造そのもの」に無理があったんです。今回は、真面目な人ほど自分を追い詰めてしまうそのカラクリについて、肩の力を抜いて書いてみます。

今思うと「無理ゲー」だったんじゃないかと思います。。

目次

「この係は自分にかかっている」という思い込み

係長という立場になると、業務の範囲が一気に広がります。自分の担当業務だけでなく、係全体の動きを把握し、部下の進捗に目を配り、上司からの突発的な問い合わせにも即座に答えなければなりません。

責任感が強い人ほど、「自分が倒れたらこの係は止まってしまう」「自分が全部把握しておかなければ大変なことになる」と思い詰めてしまいます。

でも、冷静に考えてみてください。本来、組織というのは誰か一人が欠けても回るように設計されているはずのものです。それなのに、現場の係長ひとりの踏ん張りに依存している時点で、すでにシステムとしては破綻しています。

「係長なんだから」という言葉は、組織が構造的な人手不足やマネジメントの丸投げをごまかすための便利な合言葉にすぎないのだと、いまなら分かります。

権限はないのに、責任だけが降ってくる理不尽

係長になって最も理不尽さを感じたのが、「権限と責任のアンバランス」でした。

項目公務員の係長の実情
持っている権限人事権なし、予算の決定権なし、業務削減の権限ほぼなし
背負わされる責任現場のミス対応、進捗の遅れ、部下のメンタルケア、上司への説明

民間企業のマネージャーであれば、目標を達成するためにやり方を大胆に見直したり、人員配置に自分の意見を反映させたりできる余地があります。

ところが、公務員の組織ではそうはいきません。

仕事の進め方を少し変えようとするだけでも膨大な根回しと前例踏襲の壁が立ちはだかり、動かない部下がいても配置を変える権限すら持っていません。手元に動かせるカードが渡されていないのに、結果として生じたトラブルの責任だけはすべて係長に降ってきます。

権限がないのに責任だけを負わされる状態は、心理学でも人間が最も消耗するストレス要因のひとつです。

上司と部下の「感情のクッション」になる日々

もうひとつ、中間管理職のエネルギーを根こそぎ奪っていくのが、目に見えない「感情労働」です。

上司からは無理な締め切りや理不尽な指示が降ってきます。それをそのまま部下に伝えれば不満が爆発するのは明らかなので、角が立たないように言葉を柔らかく噛み砕き、できるだけ納得してもらえるように配慮して伝えます。

逆に、部下からは業務への愚痴や「こんなの無理です」という突き上げを受けます。それをそのまま上司にぶつければ「お前の指導力不足だ」と跳ね返されるため、これまた慎重に言葉を選んで報告します。

係長が職場で無意識にやっていること

  • 理不尽な指示のトゲを抜いて部下に届ける
  • 部下の不満や不安を自分のところで受け止めて無毒化する
  • 双方の顔色を窺いながら、摩擦が起きないように調整し続ける

つまり、係長は職場の「衝撃吸収材(クッション)」なんです。上からの圧力と下からの反発を全身で受け止め、痛みを吸収する。この神経をすり減らす作業を一日中続けていれば、夕方に抜け殻のようになってしまうのは当然です。

プレイヤーとしても手一杯なプレイングマネージャー

さらに公務員の係長は、マネジメントだけに集中できる環境にはありません。いわゆる「完全なプレイングマネージャー」です。

自分自身も一番重くて面倒な主担当業務を何本も抱えています。日中は部下の相談対応や上司への説明、他部署との調整で細切れに時間が奪われ、自分の仕事に集中できるのは定時を過ぎて突発の仕事が落ち着いてから。

「いつまでこの働き方を続けるんだろう」と、夜遅くに誰もいなくなった部屋で考えたことが何度もありました。

「自分は管理職としての器が足りないんじゃないか」「無能になってしまったんじゃないか」と悩む日もありました。けれど、一人でプレイヤーとマネージャーの2役を完璧にこなすことが自分にはできなかったんです。

以前、定年までの長すぎる年月に違和感を持ったときの心境についても書きましたが、まさにこの働き方をあと何十年も続けるのは不可能だと体が教えてくれていたのだと思います。

限界を感じたら、それはあなたが真面目に戦った証拠

もし今、「係長がつらい」「毎朝起きるのがしんどい」と感じているなら、どうか自分を責めないでください。

あなたが苦しんでいるのは、能力が足りないからでも、根性がないからでもありません。組織の構造的な無理を、あなたの誠実さと責任感が支えようとしてきた結果です。

公務員には、席を降りて心を守るための制度や、立ち止まって休むための仕組みがちゃんと用意されています。無理をして完全に落ちてしまう前に、そうした逃げ道があることを知っておくだけでも、心の持ちようは大きく変わります。

管理職という看板を降りる「希望降任」という選択肢についても、実際に制度の条件や給与への影響を詳しく調べてまとめています。心が限界を迎える前の安全策として、参考にしてみてください。

係の責任を一人で背負い込む必要はありません。仕事は所詮、人生の一部であり、生活を支えるための手段にすぎないのですから。

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この記事を書いた人

【名前】なす(40代・元公務員)

激務とプレッシャーからメンタル崩壊&休職を経験した40代。
資産形成(支出見直し+積立投資)で資産5,000万円を達成し、公務員を退職して「心の自由」を獲得しました。
このブログでは、かつての自分と同じように一人で苦しんでいる公務員に向けて「休職・退職の乗り越え方」や「お金で作る逃げ道」を発信しています。

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