「今日から、仕事に行かなくていい――」
精神科で「ストレス障害」の診断書をもらい、職場への連絡も完了して、正式に療養休暇に入った最初の朝。
昨日までの殺伐とした満員電車や、朝イチで鳴り響く電話の嵐から解放されたはずなのに、私の心を満たしていたのは「解放感」ではありませんでした。
布団の中で一人、天井を見上げながら私を押しつぶしそうになったのは、息が詰まるほどの「激しい罪悪感」でした。
「今ごろ、自分が残した業務のせいで同僚が残業しているんじゃないか…」
「真面目に働いている職場のみんなに合わせる顔がない…」
「40代にもなって、自分は組織の落第生だ…」
冷めたお茶を飲みながらスマホを何度も伏せ、自分を責める思考のループが止まらない。そんな苦しい初日を過ごしたのを、今でも鮮明に覚えています。
もし、今あなたが休職初日や病気休暇に入ったばかりで、同じような罪悪感に押しつぶされそうになっているなら、まずはこう伝えさせてください。
「その罪悪感を持つこと自体が、あなたがこれまで誠実に仕事と向き合ってきた証拠です。」
今回は、休職初日に私を苦しめた罪悪感の正体と、そこから抜け出して「心を休めるモード」に切り替えることができた3つの考え方をお話しします。
なぜ、公務員は休職すると「激しい罪悪感」に襲われるのか?
そもそも、なぜ私たちはここまで自分を責めてしまうのでしょうか? 公務員という職場環境と、真面目な性格が組み合わさることで、罪悪感の正体は作られています。
- 「自分が休むと現場が回らない」という強い責任感ギリギリまで削られた人員配置。自分が1人抜けることで、隣の席の同僚にダイレクトに負担がかかる構造を知っているからこそ、申し訳なさが増幅します。
- 「公務員なのに休みをもらう」という世間の目の偏見「公務員は楽でいいよね」という世間の偏見に傷ついてきた分、「休職までしてしまう自分」に対する周囲や親族からの評価を過剰に気にしてしまいます。
- 「真面目で断れない性格」が裏目に出る限界まで我慢して倒れるまで働いてしまうタイプほど、「途中で投げ出した」という挫折感を強く抱いてしまいがちです。
ですが、元公務員として、そして同じ経験をした一人として断言させてください。
あなたが罪悪感を抱く必要は、1ミリもありません。
休職初日の罪悪感をスパッと手放せた「3つの考え方」
私がどん底の罪悪感から抜け出し、心を休めることに集中できるようになるきっかけとなった「3つのマインドチェンジ」をご紹介します。
① 人事配置・人員不足の責任は「自分」ではなく「組織」にある
同僚が大変になるのは、「あなたが休んだから」ではなく、「1人休んだだけで回らなくなる体制を作っている組織(人事)の責任」です。
公務員組織は、職員が病気や事故で休む可能性をあらかじめ織り込んで組織を運営する義務があります。個人の犠牲や我慢の上にしか成り立たない業務体制そのものが異常なのです。
あなたが背負うべきは「自分の体調を回復させること」だけであり、回らない現場の補填をするのは管理職や人事課の仕事です。
② 「病気休暇・休職」は、長年払ってきた権利(制度)の行使である
公務員の休職制度や病気休暇は、タダでもらったものではありません。 あなたがこれまで毎月高い共済組合掛金(保険料)を払い、サービス残業や理不尽な住民対応に耐えながら組織に貢献してきたからこそ使える、正当な「権利」です。
いわば、火災保険のようなものです。家が燃えている(心身が限界)のに、「保険を使うのは申し訳ない…」と躊躇する人はいませんよね。
「今まで組織のために払ってきた分の権利を、今正当に使っているだけだ」と割り切っていいのです。
③ 「今しっかり休むこと」こそが、結果として一番の貢献になる
中途半端な罪悪感を抱えたまま休むと、脳が休息モードに入らず、復職までの期間が長引いてしまいます。
無理をして早期復職し、またすぐに倒れて再休職する…これが組織にとっても、あなたにとっても一番のダメージです。
「罪悪感を捨てて全力で休むこと=最短で回復すること=結果的に最大の貢献」
「休むことが今の自分の仕事だ」と割り切り、ベッドの上でゴロゴロ過ごすことに対してド直球に「OK」と言ってあげてください。
まとめ:今日だけは、すべてのスイッチをオフにしよう
休職初日は、長年走り続けてきた脳と身体が突然ストップをかけられ、戸惑っている状態です。罪悪感が湧いてくるのは、ごく自然な心の防衛反応のようなもの。
ですが、どうか忘れないでください。
あなたが倒れても、役所や自治体は潰れません。
でも、あなたの人生や心身の健康が壊れてしまったら、代わりはどこにもいないのです。
今日くらいは仕事のこと、同僚の顔、スマホの連絡をすべて脇に置いて、温かいお茶でも飲んでゆっくり横になってくださいね。
あなたはもう、十分に頑張りました。
【免責事項・ご案内】
※本記事は筆者個人の実体験に基づく手記・コラムです。医療的な診断やアドバイスを行うものではありません。心身の不調を感じている方は、自己判断せず速やかに専門医や医療機関へご相談ください。
